21節(20節)終了時点で2位レスターと13ポイント差。最大のライバルと目されるマンチェスター・シティとの勝ち点差は14。今季のリヴァプールは初のプレミアリーグ制覇に向け独走態勢に入っている。CLは順当に首位通過を決め、クラブW杯では南米王者フラメンゴを延長戦の末下し、世界一の称号を手にした。
リヴァプールの戦術は守備から攻撃までシームレスに繋がりのあるものとなっている。守備が攻撃に、攻撃が守備に好影響を与えるサイクルとなっているのだ。
今回はサッカーキング2月号「鳥の眼Extra」第4回リヴァプール編より一部抜粋、本誌で書ききれなかった分と公式動画をつけて紹介します。
※詳細は是非本誌をご覧ください。
基本布陣
基本布陣は4-3-3。単騎で打開できるWG、攻撃のキーとなるCF、走れて守れる中盤、高精度のキックを持つSB、世界最高のCBと、クロップの戦術を遂行するに最適なメンバーが揃っている。また、オプションとして4-2-3-1を備える。
強さの秘訣
リヴァプールの強さの秘訣は、
・攻守における各ポジションの役割が明確
・その役割をこなすにあたって必要な能力を兼ね備えた選手を適材適所に配置する人選
・それぞれのフェーズが別のフェーズと強く結びついている
という「設計」の部分にある。
ここでは概要を次にまとめる。
各フェーズが前後のフェーズと密接にかかわっており結びつきが強く、相乗効果が生まれている。「良い攻撃は良い守備から」と言われるように、シームレスに局面が移り変わるフットボールという競技において、各フェーズの結びつきが強く、次のフェーズに移る前に現フェーズから優位に立つことができるというのは非常に大きな強みとなる。
仮に3トップがロングボールに限定できなければ。仮に中盤でセカンドを拾える選手がいなければ。仮に低い位置からWGへつけるボールを蹴れる選手がいなければ。仮にWGが押し込まれてしまったら。フェーズ間の結びつきと当該フェーズでの優位性が薄れ、今のような盤石のリヴァプールとはいかなくなるだろう。
例えばグアルディオラ監督時代のバルセロナの、敵を押しこんだ状態で攻撃を進め、奪われた瞬間近くの選手からプレッシングをかける、というのも同様だ。押し込んでいる状況のため、奪われた地点周辺にバルセロナの選手が複数いるためプレッシングもかけやすい。攻撃とネガティブ・トランジションの結びつきが強かったのである。
※詳細は本誌にて記載しているためここでは省略します。
各フェーズにおける各選手の役割
ここからは各フェーズにおける、各選手の役割を切り取ってみていく。
セット守備
セット守備に関しては、以前まとめた4-3-3守備戦術そのままの形を維持している。
セカンドボールの回収
ここで特に活躍するのはアンカーに入るファビーニョだ。高い位置で二次攻撃に繋がるようなプレーもみせる彼は世界屈指のアンカーと言えるまでに成長を遂げている。
・ファビーニョのセカンド回収からのミドル vsシティ
・セカンドを回収するファビーニョ
・ファビーニョがこぼれを拾い、フィルミノの落としにサラーが抜け出す。
フィルミノの役割
フィルミノは遅攻において重要な役割を果たす。彼のポストプレーがWGやIHの抜け出しのトリガーとなる。
・リンクマンとしてのフィルミノ
フィルミノがチャンネルに入り、空いたスペースに入れ替わるようにマネが侵入
WGの役割
WGはフィルミノが空けたスペースに侵入する役割を果たす。狭いスペースでも巧みにレイオフを決めるフィルミノの真横を抜けるコース取り、タイミングを逃さない判断力、一瞬で陥れるスピードが求められる。時に4-3-1-2のような形になるほど、中央のスペースを果敢に狙っていく。
・マネ、サラー、フィルミノでのゴール集
・マネのゴール集
・レスター戦、ワイドで受けたミルナーからマネの抜け出し
・4-2-3-1でのシャキリのゴール
・ララナの抜け出し
世界最高のSBコンビ
アーノルドとロバートソンは世界最高のSBと言っても過言はないだろう。共に高精度のキックを備えており、速攻・遅攻両方において強力な武器となっている。
特にファーサイドへ落とすアーリークロスは、前線に長身選手のいないリヴァプールでもクロス攻撃の脅威を相手に与えることが可能となっており、得点パターンのひとつに数えられる。
・ロバートソンからファーサイドのサラーへ vsシティ
・アーノルドからファーサイドのフィルミノへ vsレスター
・アーノルドの高精度サイドチェンジ
・アーノルドのプレー集 vsレスター
・SB2人でゴールをこじ開けたザルツブルク戦
ハイライト
・ニューカッスル戦ハイライト
・レスター戦ハイライト
おわりに
プレミア独走、クラブW杯を獲り世界一の称号を得たリヴァプール。現在最強のチームと言って差支えないだろう。そんなリヴァプールの強さの秘訣、各フェーズにおける各選手の果たす役割について分析してきた。
フェーズ間の結びつき、そして「明確なタスク」を与えられた、「最適で最高の選手」が「最高の仕事」をする。シンプルだがこれがリヴァプールの強さの秘訣だ。フェーズ間の結びつきに関してはクロップが最高の按配を見出したと言える。
このリヴァプールがこれ以上強くなることがあるのか、そして我々日本人にとっての大きな関心事でもある南野拓実の活躍に目が離せない。
本記事では概要を説明しましたが、詳細はサッカーキング2月号の「鳥の眼Extra」第4回リヴァプール編にまとめています。是非お手に取ってみてください!