【19-20下剋上】ロジャース・レスターの4-3-3戦術分析

雑記
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リヴァプールの独走状態となっている19-20プレミアリーグ。唯一の対抗チームと目されていたマンチェスター・シティでさえ大きく差をつけられている状況だが、そのシティとほほ同じ勝ち点を積みあげているのが、ブレンダン・ロジャース率いるレスターだ。

攻守共に明確な型があり、筆者としては今季最も観ていて面白いチームである。
本記事ではそんな彼らの特徴的な4-3-3戦術について紹介する。

※ロジャース・レスターの基本情報と戦術概要はフットボール批評3月号別冊 【フットボール『戦術』批評】 に寄稿させていただいております。誌面をご覧いただけるとレスターの戦術を理解できるかと思いますので、ぜひご覧ください!

本記事では誌面で書ききれなかった戦術詳細を公式動画付きで紹介します。

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特徴

・IHとWGのポジション移動
・4-1-4-1プレッシング
・カウンター対応

IHとWGのポジション移動

レスターの攻撃において肝となっているのがIHとWGのポジション移動だ。
基本的にIHがポジションを移動し、それに合わせる形でWGもポジションを移動する。
いくつか例を挙げる。

まずは、右SBペレイラが得意とするインナーラップを活かす形だ。

IHは高めの位置を取る。この時のWGとSBのポジショニングもレスターの特徴で、2人共ワイドに並ぶ位置に立つ。そうすることで内側にインナーラップのためのスペースを創り出すのだ。そのため、タッチラインに沿う縦パスはマストとなる。

WGは引きながら受ける事で敵SBを釣り出し、IHが裏に抜けるためのスペースを創る役目を果たす。ヘドンドのような形だ。またIHとSBが前進するため、WGが低い位置でリスク管理を行う必要があり、その面でも「引きながら」が活きている。

ペレイラが内側への侵入に成功すれば、ヴァーディが引いて逆WGのバーンズが裏を狙う。その他、敵の逆CHがカバーに出てきた背後をマディソンが突く等の選択肢が出てくる。

ワンツーの経路が塞がれた場合はIHが外に流れて壁役となる。ローテーションを行う事でパスコースやスペースを作りだすだけでなく、敵のSHを一気に最終ラインまで押し込むことも可能となるのだ。

このシーンではWGとペレイラが外に並び、かつIHが降りる事でペレイラがインナーラップを仕掛けるためのスペースメイクを行っている。

これが、IHが降りる場合の動きの一例だ。DFとMFのライン間に空間を作る。ワイドに開いたSBから斜めのパスを差し込みやすくなるのだが、WGの選手が中に絞り、さらに敵から離れるジャゴナウ等を組み合わせて侵入するケースが多い。

vsエバートン

Dramatic Sixth Consecutive Premier League Win | Leicester City 2 Everton 1

ライン間にて離れて受けるペレスの動き

ライン間で受けるペレス

これが最もオーソドックスな動きだ。IHがWGの手前に流れていく。敵SBに対してWGとIHで2vs1を作るのが理想だ。WGとIHが入れ替わる「横」の動きを加える事で敵のマークに混乱を与える。外に開いたIH経由で、SB裏に抜けるWGへ送る形もパターンに持つ。

絞ったWGが受けた場合、ヴァーディは高確率で同サイドに流れる動きを見せる。WGがドリブルで侵入していくのを助けると共に、逆サイドのWGがチャンネルに侵入するサポートを行うのだ。この局面に限らずレスターは逆WGが積極的に中に絞り込んでフィニッシュに絡みにいく。逆WGの代わりに逆IHがゴール前に侵入するケースも少なくなく、状況に応じて様々な選手が得点を奪いに前進する。

この一連の動きは左サイドで多く、状況次第でSBのチルウェルがオーバーラップや高精度クロスで攻撃に関わる。ペレイラのような推進力はないため、右サイドとは別の攻撃パターンとなっているのだ。

右サイドのペレイラがパス交換に関わる際、柔軟なポジションチェンジが行われる。

こういった細かな動きを組み合わせて攻撃を仕掛けるのがレスターの特徴だ。IHの動きとしては引く、流れるがメインとなる。

このIHの動きをトリガーに、敵の対応を観察しつつWGやSBといった周囲の選手が連動する。抽象的に表現すればこのようなところであるが、攻撃のトリガーと型があれば敵の対応もある程度パターン化されるため、レスターの攻撃も当然パターンが定まり、後出しジャンケン的に進行する。その「パターン」が上の例となるわけだ。状況が変われば少しずつ打ち手も変わるため、それぞれの要素を少しずつ含んだ攻撃パターンも生まれていく。守備側からすれば、IHのマディソンやティーレマンスをいかに見るか、どのエリアで放置するか等を定めておく必要が出てくる。

4-4-1-1プレッシング

レスターのプレッシングはWGが外を切りながらCBやSBに寄せる事でサイドを限定する方法を採る。サッリ・ナポリのような形だ。IH、逆サイドのWGも適宜前進することでショートカウンターの発動を狙う。

Foxes Beaten At Burnley | Burnley 2 Leicester City 1

狙いは明確であるが、連動性の部分は改善の余地がある。例えばWGが敵SBをカバーシャドウで消しながら敵CBにプレスをかける際、IHやCFが敵アンカーを消すことができていないと、アンカー経由で「消したはずのSB」に繋がれてしまう。

リヴァプール戦の失点シーンはまさしくそれだ。まずCFヴァーディの寄せがファビーニョ経由で無効化されている。その後右WGの寄せはミルナー経由で無効化されている。外に流れるミルナーに対しエンディディが素早くアプローチをかけているが、失点に繋がっている。ここでリヴァプールがやり直しを行い逆サイドに展開された場合、守備のキーマンとなるエンディディのカバーが間に合わないため、SBのチルウェルが数的不利の対応を強いられるというケースも多い。

このように前線メンバーの間でプレッシングのタイミングの共有がなされなければ、忽ち厳しい状況へと変化してしまう。大抵の相手であれば連動ミスもリカバリーが利き、ショートカウンターへ持ち込むことも可能であるが、マンチェスター・シティやリヴァプールレベルの相手では粗となって突かれてしまうだろう。

カウンター対応

レスターのカウンター対応は、ボールを保持して戦う事を好む戦術の大きな支えとなっている。

これは前シーズンの映像であるが、現在も踏襲されている。SBはビルドアップの段階でそれほど高い位置をとらないため、ボールを奪われた段階でDFラインに4枚全員が揃っているケースも多い。詳細はカウンターの記事をご覧いただくとして、4人がパスコースを塞ぎ距離を詰めつつ撤退し、最終段階で確実にシュートブロックに入ることで決定的なシュートに持ち込ませないよう冷静に対応している。プレッシング同様こちらも非常に見事な守備であるが、やはり課題がある。

まず1つは、撤退のリミットが曖昧で、迎撃の態勢をとらないままズルズルとPA内まで下がってしまうケースが少なくないことだ。DFラインの隙間を通されることは無いが、シュートブロックの意識が強いあまり、ズルズル引いてシュートの射程に入ってしまうのだ。

2点目がクロスの対応である。サイド深い位置まで抉られた際、DFラインがボールウォッチャーとなる傾向が強い。ゴール前での役割分担も不明瞭で、「とにかくブロックを」という意識のみ先行しているような形となっている。レスターに対してのカウンターはDFの壁の脇を突き、深くえぐるのが理想だ。

ハイライト

上記エッセンスが含まれる映像、その他ハイライトを選定。

vsワトフォード

Seventh Win In A Row | Leicester City 2 Watford 0

中で受けたバーンズ、外に流れたヴァーディ、侵入してきたペレス

vsアーセナル

Flying Foxes Beat Arsenal | Leicester City 2 Arsenal 0

クリスタル・パレス戦のパス回し

ペレスのハットトリック

マディソンのミドルシュート

おわりに

このチームを見た時印象は「今まで観たチームの中でサッリ・ナポリに一番近い!」。

特に守備の面は、レスターの方がはっきりと課題が見えはしたが、プレッシング・カウンター対応と十分に精度が高く、方法としても近いものとなっている。

攻撃に関してはレスターの色がはっきりと見えるものとなっている。特にIHが絡むサイド攻撃は停滞感を一切感じさせない。

怪我人や疲労が心配ではあるが、今の調子が維持できればCL圏内でのフィニッシュは難しいミッションではないだろう。

繰り返しとなりますが、ロジャース・レスターの基本情報と戦術概要はフットボール批評3月号別冊 【フットボール『戦術』批評】 に寄稿させていただいております。そちらをご覧いただくことで本記事もより分かりやすくなるはずです。

ぜひご覧ください!

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