こんにちは。
Twitterでブログ開設のお知らせをしたところ想像を超えるレスポンスをいただき、嬉しさのあまり柄にもなくリプに「!」を多用してしまったとんとんです。
さて記念すべき1記事目は私が多用する、そしてよくフォロワーさんに意味を聞かれる戦術用語について詳しく紹介したいと思います。私自身Twitterで初めに意味を紹介してはいるものの、どんどん他のツイートで流されてしまうので、ここできっちり書き留めておきます。
カバーシャドウ
これは簡単に言えば「パスコースに立つ事で敵を無力化する守備」です。
※誤) cruved run → 正) curved run
上図3パターン(【左】・【上】・【右】の3シーン)をご覧ください。
ホルダーAと受け手Bに対して、
【右】のように「2人を同一視野に捉え監視するため」にBの背後からマークにつくという方式ではなく、
【左】のように「Bを背負う形でパスコースに入る」事でBを無力化するのがカバーシャドウです。
パスコースを限定しつつ追い込む、1人で2人をケアするのに有効です。
また、【上】のようにプレッシングの際に直線的にホルダーに向かうのではなく、SBへのパスコースに入ってから(=カバーシャドウ)弧を描くようにプレッシングする事を、多くの海外分析サイトではそのまま”curved run”と表現されています。
カバーシャドウは、ゾーンディフェンスを採用するチームには必須の守備戦術です。
ゾーンディフェンスのお手本といえばナポリ。
今季のナポリは私が今まで見てきた中で最も美しいチームだと思っています。このナポリのチーム構造については今度、隅から隅までガッツリ書くつもりですが、カバーシャドウについて少しだけ見てみましょう。
上述のカバーシャドウおよびcurved runでのパスコースの絞り込みを巧みに活用しているのが分かりますか?
カバーシャドウはパスコースを限定する技術なので、後方の選手は相手の攻撃を予測しやすくなり、積極的に前に飛び出しパスカットを狙うことが可能です。
逆に、相手の背後からマークにつく守備(マンツーマン)も見てみましょう。サンプルは昨季、美しいパスサッカーで躍進し私もすっかり魅了されたアヤックスを、EL決勝で見事に完封し現実を叩きつけて見せたモウリーニョ・ユナイテッドです。
注目は中盤のフェライニ、ポグバ、エレーラ。アヤックスのキーとなる中盤3枚(2IHとアンカー)に背後から密着マーク。自由を与えませんでした。
ナポリとユナイテッドの守備方法を比較すれば一目瞭然ですね。
ナポリのゾーンディフェンスはカバーシャドウを用いる事でパスコースを制限、ジワジワと敵の攻撃の選択肢を摘んでいき、最後は圧縮して刈り取る。守備の段階から自ら主導権を握って戦おうというコンセプトを持っています。
対してユナイテッドの守備は自分たちから積極的に主導権を握り、周囲の味方と連動してパスコースを限定し追い込もうという守備ではありません。敵の動きに対してリアクションをとります。
この書き方だとネガティブに捉えられてしまうかもしれませんが、このあと説明する「レイオフ」の対策として非常に有意義な守備方法です。私はアヤックスのサッカーが好きでしたが、ユナイテッドはアヤックスの嫌がる守備戦術を貫き、優勝するべくして優勝したと納得できる好チームでした。
レイオフ
レイオフは簡単に言うと、楔を受けたポストプレイヤーが用いる「落としのパス」です。
レイオフパスを攻撃に組み込むには3人の選手が必要になります。
1人目:楔のパスを出す選手
2人目:レイオフを行う選手
3人目:レイオフパスを受ける選手
上のシーンは絵に描いたように綺麗なレイオフです。
このレイオフパスを組み込むメリットは、楔の処理が楽になる点です。
レイオフパスを行わない場合、受け手は敵の間を縫う鋭い楔のパスを、正確にトラップし、かつ反転をしないと前を向けませんね。
対してレイオフを組み込む場合、2人目がレイオフ、3人目が前を向いた状態でバックパスを受けるという形になるので、多少強めの楔を打ち込んでもスムーズに前を向いた状態を作り出せます。
「鋭い楔のパスを2人がかりで収めてかつ前を向く」というイメージですね。「狭いスペースでのターン」という高度な技術がまるごと省かれるので、技術的なハードルをぐっと低く抑えることができます。
レイオフを組み込むための条件は、2人目と3人目が適切な距離感でペアを組み、楔を処理するためのポジショニング(ペアリング)をしていることです。
このレイオフを巧みに組み込んでいた昨季のホッフェンハイム、今季のナポリでそれぞれパス循環の心臓役を担ったルディとジョルジーニョは、狭いスペースでもペアリングさえできていれば躊躇なく鋭い楔を打ち込んでいました。
この「レイオフ」、どんな守備を構築するチームに対して効果的かというと、実はカバーシャドウを用いるチームに対して有効な戦術です。
パスコース上に立つカバーシャドウはパスを通させないための守備なので、鋭いパスで無理やり自身の張る網を通過されると一気に苦しくなります。つまりは「鋭い楔を処理するためのテクニック」であるレイオフを用いることで守備陣を置き去りにできます。
先ほど紹介したユナイテッドのような守備の場合、背後から守備を行うためどうしても2人目と3人目のペアリングが難しくなります(2人目と3人目の間に必ずポグバ、エレーラが挟み込まれる仕様)。
ユナイテッドの守備はIHを警戒した極端な対策型なのであくまで例外で、大体のチームに対しては有効な攻撃戦術になるでしょう。
その他、ホッフェンハイムとチェルシーの例を挙げておきます。
チャンネル
チャンネルとは、CBとSBの間のスペースを指します。ハーフスペースとは違いますので混同しないよう注意が必要です。なぜならHSはピッチを縦5分割で見た時の両端とセンターの中間のエリア。縦5分割は広がったり狭まったりしないので固定的です(HSに関しては少しずつ解説記事が増えてきたので省略します)。
対してチャンネルはCBとSBの間のスペース。CBが中央に留まりSBが外に開けばチャンネルはどんどん広がります。
“HSは固定的、チャンネルは変動的”と理解してください。チャンネルを狙う攻撃は主流なので覚えておいて損はないでしょう。
ちなみにチャンネルランってワードを聞いた事ありますか?
…はい。私がテキトーに作った造語が、意味を理解されないまま一人歩きしております(笑)
あくまで造語なので使用は自己責任でお願いします(笑)
ほぼ同じ動きであるフットサルの「パラレラ」との使い分けは、狙うスペースがチャンネルなのか否かってところ。当たり前ですけど。チャンネルの意味を把握していないフットサルの方には突っ込まれそう…。
チャンネルを活用した攻撃については「アオアシ」から学ぶ、”司令塔型サイドバック”の可能性と”チャンネル”の攻略にて一例を挙げています。
HalbVerteidiger(HV)(ハルプフェアタイディガー)
ドイツ語のポジション名です。Halb(=half=中間)Verteidiger(DF)は3バックの両脇2人の選手を指します。基本この2人はハーフスペース(Halbraum)に位置します。
ということで、初回はライトな戦術用語から入りました。
これらは非常に重要な戦術用語でありながら、あまり知られていないかも…?と思ったので取り上げてみました。当ブログでは頻出となるかと思いますので是非覚えて帰ってください!
とんとん。
コメント
こんにちは。
とても興味深く読ませて頂きました!
戦術用語を動画付で解説してくださってるので、とてもわかりやすかったです。
(と同時に、自分が攻守に何も見れてなかったことにも気づかされます 笑)
※とても細かい点でごめんなさい。カバーシャドウの項で説明している弧を描いて詰める動きについて、図では「cruved run」本文では「curved run」となっています。(多分ですが、図の記載が誤り?)
感想いただきありがとうございます。
読んでいただいた方の反応が見れてうれしいです!
執筆のモチベーションも上がります(笑)
いただいたご指摘に関しては、おっしゃる通り”curved run”が正しいので注釈で反映させていただきます!
[…] IHのホルトビーとハントは常にチャンネルを狙い続ける。WGの伊藤とコスティッチがきちんと幅をとるため、チャンネルが空くのだ。これに対してボルシアはCHがそのままマークについていき、中央にスペースを空けてしまう。 […]
[…] 3-4-2-1の特徴はなんといってもHVの存在。ビルドアップにおいてHVがボールを持つと、サイドを起点にWB、CH、シャドーと菱形を形成しパスコースを確保。さらにこのHVをFWが見るのか、SHが見るのかという2択を迫る。そして「SHが見る」という選択肢をとらせた時にこのシステムの見せ場が訪れる。 […]
[…] 乾と武藤、特に乾のポジショニングは過去2試合で使われたSHとは明らかに違う。前寄りでハーフスペースを封鎖している。ポジションを高くとる敵SBに対してカバーシャドウを駆使して守ることができるのが乾の特徴だ。 […]
[…] カバーシャドウを駆使したプレッシングもトップクラス。攻撃だけでなく守備の面にも特徴を持つ世界最高峰の選手の一人。 […]
[…] カバーシャドウを駆使したプレッシングもトップクラス。攻撃だけでなく守備の面にも特徴を持つ世界最高峰の選手の一人。 […]
[…] 周囲の動きに関してポイントとなるのがチャンネルへのランニングだ。必ずと言って良いほど出現するこの動きに対して、敵は何かしらのリアクションを起こす必要があるため、守備陣形に穴を空ける上で非常に大きな役割を果たす。キミッヒはチャンネルに抜ける選手に対してピタリと足元にボールをつけるパス精度を備えている。つまり、チャンネルランひとつだけで好機を演出できるという脅威を、ボールを持つだけで既に与えているのだ。このチャンネルランをトリガーに周囲の選手が空いたスペースにポジションを移し敵守備陣形の穴を広げていく。そして最も良い状況の味方にボールをつける。 […]
[…] 4-4-2を採用するアトレティコは2トップによるカバーシャドウを駆使したパスコースの限定が抜群に上手い。この試合のグリーズマンとコスタのコンビは全ての2トップの手本となるだろう。GK、2CB、CHのパスコースを2人で限定していき、ロングボールを蹴らせる。2トップの限定に連動して後方の8人はポジショニングを調整し、回収する。 […]
[…] ①FWに近い位置で、前を向いてレイオフを受けたCHからの縦パス […]
[…] 上記WGによる制限が行われた後は「捕える」フェーズ。WGとSB、その背後をCBが連携して守る必要がある。しかし左SBアロンソが前進してこない。通常背後からのパスカット、もしくはカバーシャドウでパスコースを断ちCBが補佐にスライドするシーンだ。 […]
[…] ①2トップは敵の攻撃方向限定後、シームレスに同サイドのCHの背後もしくは外に流れる。②ボール奪取後、敵のプレッシングを回避するためのショートパスを1本入れ、ボールの保持を安定させたうえで速攻をかける。③FWに近い位置で、前を向いてレイオフを受けたCHからの縦パス④ボールと人の待ち合わせ場所はボールサイドのハーフスペース⑤WG+偽9番の2人でボールを収める⑥最前線への楔でCBを釣り出す […]
[…] 今回は、現在ビッグ・コミック・スピリッツにて連載中の「アオアシ」の紹介と、それに絡めて「チャンネル」の攻略についてのお話です。 […]
[…] 一方、チェルシーはまだベースサイドが設定されていない。選手が広く散ってポジショニングしているため、当然選手同士の距離間が広くなり細かなパス回しが難しい状況となっている。レイオフや3オンラインの母数は少なくなる。攻撃におけるナポリとの最も大きな差異であり、非常に大きな影響が出そうな部分だ。 […]
[…] 低い位置にポジションをとる選手をスペース(チャンネル)への侵入役に設定すれば守備側は大混乱だ。ただでさえ人数が不足する中、低い位置でフリーだった選手がチャンネルに入ってくる。さて誰が見る!?敵にそんな判断を迫るインテリジェンス溢れるプレーを見せるのがイニエスタだ。彼を観に行く際はそういった部分にも注目してみてほしい。 […]
[…] 以前、彼の攻撃戦術の特徴であるカットイン+パラレラの複合技に関する記事を書きましたが、今回は彼の落とし込む守備戦術、特に「チャンネルの封鎖方法」に注目してみます。 […]
[…] まずは、リヨンのプレッシングから。リヨンは序盤4-3-3でのプレッシングを仕掛ける。WGがカバーシャドウで外を切る、以前取り上げたリバプールの守備戦術に似た形だ。 […]
[…] 私はどちらかと言うと球際のバトルはなるべく避け、いざという時は根性!というタイプだったので、球際でのボールの奪い方をロジカルに説明する内田さんに圧倒されました。球際って根性以外の奪い方あるの?と思っていましたが、なんと5種類もの型があるんですよ。状況に応じて使い分ける事で、カウンターに繋がるような奪い方が可能です。そして、その球際の勝負に持ち込むためのカバーシャドウを用いたプレッシャーのかけ方までが網羅されていました。個人的にはここも面白いなと思いました。 […]
[…] 【サッカー戦術分析ブログ〜鳥の眼〜】カバーシャドウ?レイオフ? あま… […]
[…] カバーシャドウの弱点は3人目を介したパス回し(アタカール・エル・バロンやレイオフ)。マルセイユ視点で見るとコスタに消された左CBにザンボが叩くことができれば、プレスの空転に成功していた。マンダンダのボールの質、ザンボのコントロールミスとマイナス要素が重なってしまったが、狙いとしては悪くなかった。こういった状態で確実にプレスを空転させられるCH、アンカーがいるチームはスムーズなパス回しが可能となるだろう。 […]
[…] ユベントスはシーズンの半分、19試合終了時点で11失点。数字が示す通り、堅固な守備が強みだ。この守備組織を構築したアッレグリは、ロナウド(以下CR7)をも守備に組み込んでいる。勿論、特別な仕事をこなせる彼を他の選手ほど守備に走らせることはしない。ただし、イタリアでのCR7は最低限のカバーシャドウはかける姿勢を見せている。 足りない部分は背後に構えるIHのマテュイディがカバーする。 […]
[…] グアルディオラが採用する偽サイドバックは大きく分けて①WGへのパスコースを空ける(WGの突破力を活かすため)②チャンネル攻略③カウンター対策 の3つの効果を発揮する。 […]
[…] そのため、CHのスライドが間に合わない範囲はHVとCBが前進して寄せる。これは5バックを採用するどのチームも行っているだろう。前進した選手が空けたスペースは残りの最終4枚で埋めるか、CHが落ちて埋める。 […]
[…] この記事は、同時投稿【ハーフスペース起点のひし形】ガスペリーニ・アタランタの5-2-1-2攻撃戦術の分析の後編として、アタランタにおけるHVの役割を中心に紹介する。 […]
[…] アタランタのビルドアップにおける形は様々だ。5バックのまま、片方のWBを上げた4バック、片側サイドのWBとHVを上げ、CHを落とした4バックなどだ。 […]
[…] レヴァークーゼンは左にベイリー、右にハフェルツもしくはヴァイザー等を張らせている(右は常時ではないが)。そうすることでDFラインを横に広げてチャンネルを、もしくはシンプルに背後のスペースを狙うのだ。 […]
[…] 「良い攻撃は良い守備から」、とよく言われますが、まさにそれを体現する選手です。守備の最中から攻撃に移った時のことを同時に考えている。もちろん守備はサボらない。そのカギとなっているのはカバーシャドウです、という内容を具体的に書かせていただきました。 […]
[…] 2トップがボランチと内に絞ったSBへのコースを切るように立つ、いわゆるカバーシャドウを実施する東京。クリリンは高萩&橋本のコンビが絶えず監視する。また、東&だがマリノスは1つずつマークのズレを作りゴールまでボールを運んでいく。 その始点はパスワークに定評のある畠中ではなく、チアゴ・マルチンス。畠中からのボールを身体の真ん中に置いて、マーカーのディエゴ・オリヴェイラと正対すると、利き足とは逆の左足でわー坊こと和田拓也へパス。右足を予測していたディエゴは逆を突かれた格好になり、まず1枚ズラした。 なんでもないようなトラップ→パスだが、もしボールの置き所が右寄りで「右足で出すしかない」状態だったら確実にインターセプトされただろう。チアゴのビルドアップ面の成長を感じさせたシーンだった。頑張れチーちゃん、シウバの方のチアゴみたいになってくれ。 […]
[…] CF(タディッチ):CB間に入り、カバーシャドウで切りながらボールホルダーへ寄せ、攻撃サイドを制限する。 […]
[…] 反対に大分は若干の野戦病院化や、マリノスとの陣形の噛み合わせを考慮してシステムと人を前節浦和戦から変更。3-4-2-1の時にはシャドーを務める小塚を1列下げて、マリノスの正三角形型3センターに合わせるように2IH+1アンカーの布陣に。前節負傷した右HV(3CBの両脇の2人のこと。HなVRではない。)岩田の代わりに「持ち歌はホイットニー・ヒューストン」島川を起用。岩田のようなチートじみた機動力はないものの、甲府時代はアンカーとしてもプレーした彼を起用する辺り、HVからのパスの供給が肝だと、憎いアンチクsh知将・片野坂監督は考えていたのかもしれない。 […]
[…] プレス開始位置を低く設定した場合、1列目のFWのラインと、2列目の中盤ラインの距離を狭める事でカバーシャドウがかかりやすくなり、アンカーのマークにつく役目が不要となる。その分中央のケアを弱めることの出来る2トップは、中央から距離をとった位置にベースポジションを置くことができる。敵からすれば「中央が使えず、サイドにも制限がかかった状態」となる。この時のルーマニアは、ボールサイドのCH、SH、SBで迎え撃ち、逆サイドの選手はそれほど絞らずにエネルギーの消耗を抑えることができる。 […]
[…] […]
[…] 具体的には2トップの一角がSBの背後を狙う。これを警戒するCBがラインを下げると、もう一方のFWがライン間に入る。ライン間の選手にボールが入ると、連動して逆SHがレイオフを受けられるポジションをとる。絞る逆SHに敵SBがついてくると、大外をナポリの左SBが駆け上がる。これがナポリの3バック化のシナリオだ。背後を突ける選手、ライン間で仕事ができる選手が多いナポリだからこそ実現できる攻撃となっている。 […]
[…] サッリ・ナポリやユベントス同様、WGが外からカバーシャドウをかけるパターンを備えている。 […]
[…] カバーシャドウ?レイオフ? あまり知られていない戦術用語紹介こんにち… […]
[…] ハフェルツ達が降りて受けたボールのレイオフを待っている。つまり、三角形と言っても初めのボールホルダーの選択肢は1つ。選択肢を2つにするための三角形ではなく、レイオフを受けるための三角形となっている。 […]
[…] WBが前進しホルダーにアプローチ、HVがWGを捕まえる。WBは内側ではなく縦方向のパスを切るように寄せる。なぜなら、内側にはショートカウンターを発動させられる前線5枚の選手、最終ラインに残っている3枚のDFがおり、さらには受け渡しのリスクのある外側のWGをケアする必要があるからだ。 […]
[…] ベンタンクールはカバーシャドウや死角からのボール奪取などのカウンター対応だけでなく、ターンの技術が非常に高い。小さな動作で色々な方向に身体を向けることができる。これは敵の視線を釘付けにするとともに、敵の動きを止めるという牽制の効果を持つ。 […]
[…] これはシティと同様のタスクだ。ただし、シティとは目的が違う。シティはビルドアップで優位(CBとアンカーのパス交換でホルダーがフリーとなる状態)を作り、WGが広げたチャンネルへ侵入を図る。対してバルセロナは敵SBとSHの間にスペースを作るために用いる。ここにパラレラで侵入するのがIHアルトゥールだ。 […]
[…] イニエスタはスピードのある選手ではないがスペースの認知力が抜群で、敵の死角からマークの受け渡しを外し、いつの間にかチャンネルを陥れ、決定的な仕事に関与していた。 […]
[…] 多くのチームは3vs1の状態を改善しようと手を打つだろう。例えば、本田とシャカを交えた4vs2の状態に変更し、二人で連携を取り、カバーシャドウを駆使して数的不利の影響を緩和する。もしくはラインをはっきり上下させてコンパクトな状態を保ちパスコースを絞る、等である。 […]
[…] IHのホルトビーとハントは常にチャンネルを狙い続ける。WGの伊藤とコスティッチがきちんと幅をとるため、チャンネルが空くのだ。これに対してボルシアはCHがそのままマークについていき、中央にスペースを空けてしまう。 […]
[…] HVをアンカー脇まで前進させるホッフェンハイム。対するRBLの策は、そのHVの裏の狙い撃ちだ。 […]
[…] 絞ったWGが受けた場合、ヴァーディは高確率で同サイドに流れる動きを見せる。WGがドリブルで侵入していくのを助けると共に、逆サイドのWGがチャンネルに侵入するサポートを行うのだ。この局面に限らずレスターは逆WGが積極的に中に絞り込んでフィニッシュに絡みにいく。逆WGの代わりに逆IHがゴール前に侵入するケースも少なくなく、状況に応じて様々な選手が得点を奪いに前進する。 […]
[…] サイドに展開された場合は、スライドによる消耗の比較的少ないSHが対応する。状況に応じてSHとSBが大外とチャンネルカバーの担当を入れ替えて守る。SHとSBが連携することでチャンネルのケアを怠ることなくサイド攻撃にも対応できるのだ。 […]
[…] 上記WGによる制限が行われた後は「捕える」フェーズ。WGとSB、その背後をCBが連携して守る必要がある。しかし左SBアロンソが前進してこない。通常背後からのパスカット、もしくはカバーシャドウでパスコースを断ちCBが補佐にスライドするシーンだ。 […]
[…] 高精度のロングボールを放つゲンドゥージが上記のように数的優位を作り、前を向き、前進させる。彼を起点に、特にチェルシー戦で見られた攻撃がサイドチェンジ+インナーラップによるチャンネル攻撃だ。以前、「アオアシ」から学ぶ、”司令塔型サイドバック”の可能性と”チャンネル”の攻略においてサイドチェンジ+インナーラップの相乗効果は解説したが、アーセナルでは前を向けるロングボールの出し手とスピードあるSBによってチャンネル攻撃が実現されていた。 […]
[…] レイオフ同様、敵のカバーシャドウを無効化するこの動きを取り入れることができれば、パスの選択肢が圧倒的に広がる。 […]
[…] セネガルの攻撃は非常にシンプルだ。細かいパス交換は用いない。狙うエリアはチャンネル。周囲の選手がSBを釣り出してチャンネルを広げるといった連動性のある攻撃も少なく、個人の持つスピードと高さに依存する形だ。連動性の無い反面、全員が迷うことなくこのエリアを狙っており、圧倒的優位なフィジカル能力で何度も日本のゴールを脅かした。日本の失点は2つともチャンネルを利用されている。 […]
[…] カバーシャドウ?レイオフ? あまり知られていない戦術用語紹介こんにち… […]
[…] 例えば、彼がスアレスの近くでプレーすることでレイオフ等の細かいパス交換で前を向くことが可能となる。これを阻止しようと敵SBが内側に絞れば外側のトリッピアーがフリーになる。スアレスが引いて敵CBを釣り出せばコレアは敵の背後に抜ける動きをこなすこともできる。距離間が遠ければ中央で連携を取ることができず、かといってサイドの幅取り役を設けなければ中を固められた時に手が打てない。 […]