バルセロナの8番を継いだアルトゥールの特徴とは?~イニエスタの穴を埋めた男~

バルセロナの8番を継いだアルトゥールの特徴とは?~イニエスタの穴を埋めた男~

イニエスタのヴィッセル神戸移籍。レジェンドとも言えるこの選手の移籍に喜ぶ日本人は多けれど、その反面寂しさを感じるバルセロニスタも一定数いたことだろう。

レジェンド・イニエスタの背番号8を引き継いだのは22歳のブラジル人MFアルトゥール。彼は今、カンプノウのピッチで眩いばかりの輝きを放っている。そしてWGのコウチーニョ、SBのジョルディ・アルバと形成する左サイドのユニットは、バルセロナにとって非常に強力な武器となった。

今回はアルトゥールのプレーの特徴の紹介、そしてバルセロナの武器・左サイドの攻撃戦術について2回に分けてお送りする。


アルトゥールのプロフィール

選手名:アルトゥール
所属:バルセロナ
背番号:8
生年月日:1996年8月12日(22歳)
国籍:ブラジル
利き足:右
代表デビュー:2018年9月
備考:2018年夏、2024年までの契約でグレミオより移籍金3,100万ユーロで加入。

特徴

彼のストロングポイントはピッチを俯瞰しているかのような広い視野驚異的なプレス回避能力の高さだ。

ターンの技術が高く、常に前を向いてプレーできる。トラップは乱れることなく懐に置くことができるため、敵は迂闊に奪取に挑むことができない。ボールタッチと身体の入れ方を巧みにコントロールできるのは、敵の位置を的確に把握しているが故である。

敵をギリギリまでひきつけてボールをリリース。ゾーン破壊の鉄則であり、その後の動き直しは驚くほど早い。上の動画ではこの武器を活かしてインテルの激しいプレッシャーを回避している。

ゾーンの隙間を縫う動きやスペースの感覚にも長けており、イニエスタやシャビのようなゾーン破壊の名手となる可能性を秘めている。

さらに驚くべきは、俯瞰的な広い視野を守備の面でも役立てているこのシーンだ。

CBのピケが置いて行かれ1vs2の状況のカウンター対応。背後をとろうとするクレバーなボルハ・バレロに対し何度も首を振って位置を確認しつつポジションを微調整している。このポジショニングは、「裏を突くパスを引っ掛けられる位置」であり、かつ「中央に切り込まれないよう牽制できるギリギリのライン」である。最終ラインでのケアを強いられた状況のIHでここまで冷静に、絶妙なポジショニングで守備をこなすことができる選手はそう多くない。

俯瞰的な広い視野を守備の面でも活かしているという点において、「リアル・アオアシ」、「リアル・青井葦人」と呼びたくなるような守備をこなせる選手だ。

セントラルウインガーとしての役割

彼はセントラルウインガーとしての役割をこなすことも可能だ。サイドのスペースにスルスルと侵入し、味方の為にパスコースを創り出す。まさに潤滑油のような存在と言える。

上のシーンではただ流れるのではなく、あえて敵の視界に入ってから一気に死角に侵入するような動き出しをしている。「敵の視野を計算して死角に入る」そして「喰いつかせて敵を動かす」というゾーン破壊に必要な要素を体現しているのが分かる。

イニエスタのチャンネル侵入に学ぶべし

イニエスタはスピードのある選手ではないがスペースの認知力が抜群で、敵の死角からマークの受け渡しを外し、いつの間にかチャンネルを陥れ、決定的な仕事に関与していた。

対するアルトゥールはそれほど高い位置をとらず、アンカーであるブスケツとほぼ変わらぬ高さに位置することが多い。それ故か、ファイナルサードでチャンネル侵入を狙う機会はイニエスタほど多くない。当然、得点に直結するプレーも少ない。

勿論それは良し悪しである。逆に高い位置への侵入が少ない分、イニエスタよりもリスク管理に長けているという特徴も持ち合わせている。

それでもアルトゥールほどのスペース認知力があればイニエスタを彷彿とさせるチャンネルランを行うことは可能であろう。チーム全体のバランス、状況を見て侵入を試み、決定機に絡むことができれば、また1歩階段を上ることができるはずだ。

おわりに

アルトゥールは非常にクレバーな選手だ。卓越した技術と戦術眼で、あっという間にバルセロナのサッカーに溶け込んでみせた。カンテラ育ちの選手だと勘違いするほどの出来である。22歳と若く、今後バルセロナの核を担う選手となる可能性を秘めている。これから順調に成長することを期待したい。

そして次回はアルトゥールとコウチーニョ、ジョルディ・アルバで形成される左サイドの攻撃戦術について分析する。