セラーデス・バレンシアの4-4-2戦術分析

戦術分析

リーガ・エスパニョーラで安定した戦いを見せ、CLでは昨シーズンベスト4のアヤックスを退け決勝トーナメントへと進出したセラーデス率いるバレンシア。平均ポゼッション率48.3%でリーガ12位の彼らの特徴は、「深く守り速く攻める」。本記事ではそんなバレンシアの4-4-2戦術にフォーカス。

※本記事の分析をもとにしたCL展望マッチプレビューをサッカーキング3月号に寄稿しております!私の担当はバレンシアvsアタランタ、RBライプツィヒvsトッテナム・ホットスパー、リヴァプールvsアトレティコです。ぜひご覧ください!

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基本布陣

基本布陣は4-4-2。2トップ、特にロドリゴが斜めに抜ける動きや降りる動きでスペースを作り出すことができるため、SHにはそこに侵入できるアタッカーが起用される。新鋭フェラン・トーレスはその筆頭だ。

守備戦術

バレンシアは基本的に低い位置にブロックを築き、敵の攻撃を跳ね返す。DF・中盤の守備ブロックの手前に2トップを置くことで、敵に楔を打つことに対する警戒心を持たせる。そうすることで中盤の距離感を広く取らせ、スライドによる体力消耗を抑えている。

バレンシアはSHとCHの間に入る楔をそれほど恐れていない。理由は2点。

1点目は、ライン間をコンパクトに保っているため楔と同時にCBが前進してボール奪取に行くことができるためだ。

そして2点目、中盤のラインに比べてDFラインは横幅がコンパクトに維持されている(大まかな目安として、ミドルサード:ペナルティエリアの幅、ファイナルサード:ゴールエリアの幅)ためである。

DFラインの横幅がコンパクトであれば、1人が前進してもすぐに背後のスペースをカバーできる。DFの選手間を通される心配も少なく、そもそもDFラインも高くないため、背後にそれほど広大なスペースが広がっているわけでもない。

ライン間の敵にボールが入っても、DF陣がコンパクトな陣形を維持することで時間を稼げば、中盤のパレホやコクランのプレッシャーを待つことができるのだ。ここの対応で慌てないのがバレンシアの特徴だ。

サイドに展開された場合は、スライドによる消耗の比較的少ないSHが対応する。状況に応じてSHとSBが大外とチャンネルカバーの担当を入れ替えて守る。SHとSBが連携することでチャンネルのケアを怠ることなくサイド攻撃にも対応できるのだ。

(詳細はバレンシアのチャンネル封鎖の記事参照)。

ただ、格上の相手でライン間の狭いスペースにも細心の注意が必要な場合、4-1-4-1を採用することもある。

アンカーに入るコンドグビアは自身の脇に入ったボールに対し、素早く横向きのプレッシングをかける。これにより敵の攻撃サイドを限定するとともにやり直しを行う時間を奪うのだ。

サイド攻撃

バレンシアの攻撃は時間をかけずにサイドから素早く攻め込む。右サイドではポジションチェンジ、左サイドではSHのカットインを起点に攻撃を展開している。

左サイドでのカットインからの攻撃の展開は大きく3パターン。これは速攻の際も遅攻の際も同様だ。

①カットイン+パラレラ
②カットインからライン間へ展開
③サイドチェンジを挟んでから①or②

フラットな4-4-2における攻撃の鉄則、「とにかく斜めに」。加えてポイントとなるのがSBのインナーラップだ。

左SBのガヤはリーグでも屈指のスピードを誇る。彼のインナーラップはそのままボールを受けてゴールに近づくこともできるが、敵SHを押し込むことで味方SHのカットインのためのスペースを確保するうえでも役立っている。

また、ロドリゴが逆サイドに流れて入れ替わりSHが中央に侵入するパターンも備えている。味方の動きに柔軟に合わせることができるのも強みの一つだ。

右サイドのポジションチェンジにはヘドンドのような型が用いられる。

パレホがパス交換をしながらDFラインに落ちるところから始まるケースが多い。このパス交換を「しながら」というのがミソだ。

3バック化してからパス交換を始めても敵はそれほど食いついてこないケースも多い。しかし、降りる前のCHに対してはきちんとプレッシャーをかけるチームが大半だ。パス交換を行いながら降りることで敵を効果的に食いつかせることができる。

そしてパレホは図のようにリターンのパスをあえてずらすことでポジションバランスを整理している。パスにメッセージが込められているというのはまさにこのことだ。

リーガ屈指のゲームメイカーからボールを受けたCBは運ぶドリブルを開始する。

パレホが元居た位置にロドリゴ、続いてフェラン、そしてヴァスと流れるようにポジションチェンジが繰り返され、ギャップを作り、突くのがバレンシア右サイドの特徴となっている。

おわりに

バレンシアの弱みはオーバーロードをかけられた場合、オープンな展開となった場合、ライン間でのプレーを得意とした選手との対峙といったところだ。

4-4-2は得点力不足に悩まされるチームが非常に多い。突如として点が取れなくなることも少なくない。全体が前傾となり総合的なバランスまで崩してしまうこともある。そんな4-4-2でリーガ・CLともに比較的安定した戦いを見せるバレンシアが、上述の特徴と武器をひっさげ今後どこまで進化・もしくは調子を維持していけるか注目だ。

※繰り返しとなりますが、本記事の分析をもとにしたCL展望マッチプレビューをサッカーキング3月号に寄稿しております!私の担当はバレンシアvsアタランタ、RBライプツィヒvsトッテナム・ホットスパー、リヴァプールvsアトレティコです。ぜひご覧ください!

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