ブライトン戦術分析 ~「ウインガー」を起用しない異色の4-3-3~

戦術分析

プレミアリーグ序盤戦、最大のサプライズのひとつとなっているのが、昨季王者アーセナルを3-0で下した、ヒュルツェラー率いるブライトンだ。

2節のチェルシー戦こそ落としたものの、その後は好調を維持し、7節終了時点で3位に位置している。

多くの強豪チームは、ウイングにドリブルやスピードを武器にした強力なアタッカーを配している。

しかしブライトンは、三笘の怪我もありそういったタイプの選手が不在だ。それでも1試合平均3得点とリーグトップの得点をあげている点が、このチームの興味深い特徴の一つだと言える。起用されるサイドアタッカー自体は、ドリブルやスピードといった武器が無いだけで、その貢献は大きい。

規律の中に自由が見られる攻撃局面以外でも、安定したパフォーマンスを発揮しており、失点も少ない。

そんな大きなサプライスと異色の特徴を備えたブライトンの戦術を紐解いていく。

なお、これ以降のスタッツは、インターナショナルブレイクまでの5節時点の数字で紹介する。

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チームのスタイル

ブライトンを率いるのは、プレミアリーグ最年少となる33歳のドイツ人監督、ヒュルツェラーだ。29歳という若さでドイツ2部ザンクトパウリの監督に途中就任すると、当時15位であったチームを5位まで引き上げ、翌シーズンにはチームを14シーズンぶりの1部昇格へと導いた。

インターナショナルブレイクまでの5節時点のスタッツを見ると、ポゼッション率はリーグトップで、欧州5大リーグで見ても4位となっている。

シュート本数はリーグ2位。ただ回しているだけではなく、ゴールまでの道筋も確かだ。ゴール数もリーグトップである。ファイナルサードではクロスも多く活用し、リーグ2位。ただし、ドリブラーの少ないスカッドであり、ドリブル数は16位と低い値となっている。本職SBのデ・カイペルと、空中戦に強いゴメスのSH起用はチームの大きな特徴だ。ドリブルを活用せずとも、ゴールまでの道筋をここまで確かに形作れるという点を、ブライントンから学ぶことができる。

監督だけでなく、スカッドの平均年齢も若く、プレミアリーグで3番目だ。足元の技術に長け、ポストワークの得意なCFコストゥラス。そしてビルドアップを得意とするCBヴシュコビッチはまだ19歳という若さである。

GKのフェルブルッヘンは足元の技術に長け、ビルドアップに積極的に参加することができる。

フィールドプレイヤーにはドリブラーが不在だが、ポジション調整力やショートパスを得意とする選手が多く、攻撃の足並みがそろっている。抜群の流動性を誇る攻撃と、プレッシング戦術が持ち味だ。

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攻撃戦術の特徴

ブライトンは開幕5試合で16得点と、抜群の攻撃力を誇り、優勝候補筆頭であるアーセナルをも3-0で退けている。

彼らの攻撃における特徴は、位置的優位を活用した、相手に対する静的な働きかけと、動きの中で二択を突き付ける動的な働きかけを掛け合わせること。そうして敵の守備を誘導し、逆を突く点にある。

彼らは、ドリブラーやスピードタイプのウイングを起用していない。しかし、そういった選手を起用せずとも、多くの得点に結びつけることは理論上可能であり、ブライトンがそれを証明している。

位置的優位は、前向きフリーとスペースを生み出し、前進していく上で有益な優位性である。相手の守備陣形に応じて、1stDFに判断に迷いを生じさせるよう的確にポジションを取ることが求められる。しかし、相手が巧みにスペースと選択肢を消し、ボールホルダーにアタックをかけてくる場合、位置的優位を生み出すことが難しくなる。そうした時に、動的な働きかけを行うことで、相手の守備に対して判断を突きつけ、位置的優位や数的優位を生み出していく。

動的な働きかけとして、ポイントとなるのが3点だ。

①ボール保持者と非保持者が、逆方向に動く

②ボールを運ぶ方向を変化させる

③守備ラインを越えるように前方に抜ける

守備者は基本的に、ボール方向にスライドをかける。つまり、ボールの動く方向と守備者のスライド方向は同じとなる。ブライトンの非保持者は、それと逆方向に動いてボールを呼び込むことでマークを外し、無理なく前進することができる。

これが同方向となれば、ハイプレッシャー、狭いスペースでのプレーを余儀なくされる。つまり、前進するためにはより強靭なフィジカル、高い技術、スピードを要し、前進難度が高まってしまう。

逆方向を作るのは、非保持者だけではない。受け手の動きと逆方向にボールを動かすよう、ボールホルダー自身も、ベクトルをコントロールする。そうすることで、先に続くプレーでフリーを生み出すことができるのだ。

ただし、逆向きを作るのは、あくまで前進を果たすための手段である。先の局面を優位に進めるための意志決定の材料のひとつであることを理解する必要がある。

配置ががっちり噛み合い、相手の1stDFの基準を乱せない場合は、相手の守備ラインを越えるように前方に抜ける動的なアクションも仕掛ける。相手がついてくれば後方でスペースを確保することが可能となり、ついてこなければ前方でフリーの選手を生み出しやすくなる。

相手に二択を突き付けることで守備者を意図したエリアへと誘導し、守備配置を変化させることでスペースを生み出す。誘導というワードは、守備においてよく用いられるが、ブライトンにおいては、この攻撃における誘導、攻撃的誘導が礎となっている。

ここまでのブライトンは、三笘やミンテの不在もあり、サイドにドリブラーを配置していない。それでも大量にゴールが生まれているのが、興味深い点だ。

右のゴメスは空中戦やオフザボールで輝くタイプであり、左のデ・カイペルは本職が左SBで、クロスやパスを得意とするタイプだ。彼らにはドリブルでの打開力が無い。SBのボスカリ、ウィーファー、カディオールも同様で、位置取りや丁寧なショートパスに特徴を持つ選手達だ。ドリブラー不在ゆえにシンプルなパスに徹することができ、無駄なロスト無く内側とリンクしやすくなっている。

サイドの選手が内側とリンクできることで、相手を揺さぶるための幅と選択肢が広がる。逆を突くための攻撃的誘導と、各選手の特徴が、ボールと人が内と外のレーンを跨ぐことに繋がり、ギャップを生み出すことができるのである。

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位置的優位の活用

位置的優位の例について見ていく。相手の守備陣形に対して、静的な働きかけを行う機会が多いのは、左SBのボスカリだ。彼は、相手が2トップであれば、絞った位置でビルドアップに参加することで、1stDFの迷いとずれを生み出す。

敵CFが開いてくれば、CBが中央で前向きフリーを享受することができる。敵SHが前進すれば、アタッカーがスペースを得られる。

また、アンカーとの距離が近くなり、素早くフリーのアンカーに預けて前を向かせることができる。

敵が3トップであれば、広がった位置でプレーする。これも同様、敵シャドーが開けば中央の味方が前向きフリーを享受することができる。

WBが前進してくれば前方の味方がフリーとなる。当然、これに対して相手はスライドをかけてくるが、その場合は逆サイドで数的優位が生まれやすくなる。逆CBが敵シャドーを引きつければ、敵WBとシャドーの距離が長くなるため、スペースを得られる。逆IHが抜ける動きを入れることで、敵WBは内側に寄るため、サイドのスペースはより広くなる。

4-4-2で守る相手に対しては、4-3-3による中盤の数的優位を活用する。

GKのフェルブルッヘンがビルドアップに参加することで、両CBがペナルティの幅まで広がった位置をとることができる。相手はその間で顔を出すアンカーのアヤリに対し、2トップだけでの対応が難しいため、CHを動員する。

アヤリは片側に寄ることでもう一方のサイドにスペースを生み出す。例えば左に寄ることで、右IHのグロスが浮く形となる。

敵SHが内側に寄って牽制を入れると、次はSBのカディオールがフリーとなる。

グロスに対してCBが前進すると、前線のアタッカーが空いたDFラインのスペースへと飛び込んでいく。

中盤の優位性活用という意味で、IH同士のレーン重ねの動きも頻繁に見られる。右IHのグロスが高い位置を取り、左IHに入るヤルクエ等の選手がグロスの手前に降りることで、マークを外す動きだ。敵中盤がアヤリとグロスを見る場合、ヤルクエに対するはCBとなる。しかし、CBがレーンを変えつつ前進するというのは、スペース管理の上で難しい。そのため、ヤルクエはフリーでボールを受けやすくなる。非常に再現性の高い動きだ。

こうした降りる動きは、CFのコストゥラスも得意としている。

敵がCBへのパスコースを消しつつGKへプレスをかけてくる場合、アヤリが膨らむようにボールを迎え入れることで、CFの影に入るCBへパスを送り込むことが可能となる。

前進するうえで、アンカーのスペースメイクやボールの回し方は非常に重要となっている。

アンカー脇のスペースの活用は、IHだけが行うわけではない。先ほどの例では、CBのヴシュコビッチが内側に入りこんでボールを受けているが、SBのウィーファーやボスカリも内側に入る動きを見せる。

SBが内側に入れば、CBが外側に開く。斜めの立ち位置を取り、前向きフリーを作って前進を果たす上で効率的なムーブだ。

後方のボール保持の状況次第では、アンカーのアヤリだけでなく、IHのグロスも敵の守備の1stライン手前まで降り、守備の基準を乱しにかかる。

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動的な働きかけ、攻撃的誘導

ブライトンの動的な働きかけ、抜ける動きは、ピッチのあらゆるエリアで見られる。

抜ける動きは、相手の1stDFの判断に迷いを生むことができていない時、つまりマークやプレス対象の所在がはっきりしている時に、それを乱すために利用される。

こうしたプレーは、相手についていくかいかないかの2択を迫るものである必要がある。一方しか塞ぐことのできない2択を強制し、一方に誘導することで、もう一方のルートから前進していく。

ブライトンでよく見られる3種類の抜ける動きで見てみる。IHがSB裏に抜けるプレーは、敵CHに2択の判断を突き付け、ついていけば中央が空き、行かなければそのままSB裏にボールを送り込んで前進できる。

中盤の底で配球した選手が、コストゥラスの0トップによって空いたスペースに抜けていく動きは、複数の列を越えることでマークを撹乱している。1stラインの選手がついていくのは、距離的にも現実的ではない。

ついていかなければマークの受け渡しが発生するが、複数列をまたがるためどのラインの選手が引き受けるのか、判断に迷いが生まれる。

CBの選手が抜ける際は、敵1stラインの選手が引いて対応するケースが多いため、後方にスペースが生まれて、ビルドアップに余裕ができる。GKのフェルブルッヘンも組み立てに参加しやすくなる。

ボールホルダー自身による働きかけも見られる。開いた位置で受けるCBは内側へ、内側で受けるCBは外側へとボールを斜めに運ぶことで角度をつけ、相手にスライドを強いる。内側に運ぶ場合は中央や逆サイドの味方と繋がりやすくなり、外側に運ぶ場合は、逆向きとなるサイドのローテーションが起こりやすくなる。角度をつけることで相手を誘導するだけでなく、パスコースを空けることにもつながる。

こうした攻撃的誘導により、スペースメイク、パスコースの創造がなされている。

2択を作るということは必ず、選択されない囮役が存在することとなる。囮として、名脇役となれる選手、囮を囮として活用するように演出できる選手が、ブライトンには非常に多い。

抜ける選手を囮として活用できず、生まれるスペースを認知できないと、縦に早く強引な攻撃となる。まさに、ブライントンの攻撃のポイントである逆向きが作れていない状態である。ドリブラーを配置することで、こうした連携が滞留してしまうことは少なくない。そういった点においても、ドリブラーを起用しないという采配が功を奏し、非常に流動的な攻撃が展開されている。

ただし、正確に状況を読み取り、適切なプレー選択ができるドリブラーがいれば、別の選択肢も生まれてくるだろう。

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ファイナルサードの攻略

ブライトンはクロスボールの本数がリーグ2位と多くなっている。彼らのクロスボール戦術は、固められたゴール前に無理やりハイボールを送り込むものではない。

クロスボール戦術におけるポイントは、敵の守備陣形の分解と、ゴール前での構造づくりだ。そして、これらのポイントは、これまで述べてきたビルドアップ手法も大いに関係してくる。

相手の守備陣形を分解する手法は、主にサイドチェンジとチャンネルランだ。

チャンネルランは、相手に2択を突き付ける動的な働きかけだ。この動きに対し、敵のCHが対応すれば、マイナスクロスが有効となり、CBが対応すればゴール前の人数が減るため、数的優位を作り出すことが可能となる。

サイドチェンジは、相手の中盤の守備列を越えるようなボールを送り込む。サイドチェンジの出し手となるヴシュコビッチ等のDF陣には、先述のビルドアップの仕組みを用いて前向きフリーの状態を提供することで、精度を担保する。

敵の中盤を前方に引き付けた状態でサイドチェンジを行うことで、アーリークロスが効果的に決まりやすくなる。中盤の前進によりマイナスクロスが切れない状態で、DF背後と手前を利用することで、2択を突きつけていく。

受け手となるクロッサーにもスペース、前向きフリーを与える必要がある。CBやSBが敵の中盤を引きつける、もしくは0トップのコストゥラスがCBを釣り出し、敵SBをカバーで絞らせるといった形で実現する。

ショートパスをSHに届ける場合は、SBが絞っておくと効果的だ。敵SHの前進を促しやすい。また、パスを受けるSHが前を向きやすいよう、角度をつけることが可能となる。

SBがサイドに立つと、守備側は全体のスライドの足並みを揃えやすく、そこからSHに出すと後ろ向きとなるため、スムーズにクロスに移ることが難しくなってしまう。

こうして、クロスボール戦術を効果的に遂行するための土壌を作り出しているのである。

左SHのデ・カイペルはクロス精度が高く、右SHのゴメスは183cmとそれほど長身ではないが、非常に優れた跳躍力を備え、1試合あたりの空中戦勝利数リーグ6位と高い数字が示すよう、強さを見せる。

アーセナル戦の先制点はクロスを用いず、サイドでのエイトを4度繰り返したうえで奪った得点となった。このエイトによって、相手の守備組織を外に広げると同時に、低い位置まで押し込むように誘導した。

4度目のエイトは、カディオールがワイドのアヤリに当てて抜け、敵を押し込んだ。ワイドのアヤリは中央に返し、内側にレーンチェンジを行う。ヴシュコビッチは、ウーデゴーアと正対するようにボールを運び、視線を釘付けにして背後のスペースを確保した状態で、降りてくるコストゥラスに当てる。この時グロスは、ヴシュコビッチのドリブルとは逆向きに移動してCBから距離を取る。パスを受けると得意の右脚にボールを置き、ミドルでゴールネットを揺らした。この時、大外から入りこんで裏に抜けるアヤリが敵DFを釘付けにする働きを見せていることを見逃してはならない。

サイドでのローテーション、逆向きの動き、抜ける動きが凝縮された1プレーとなった。

こうした連動も、ドリブラーによる強引な仕掛けや、無意味なテンポアップが入らないことが、良い影響を与えている。

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ロングボール戦術

低い位置からショートパスを中心に攻撃を組み立てるブライトン。ただし、それに固執することなく、ロングボールでの前進手段を備えている。これにより、プレッシングで抑え込みにくる相手の守備戦術を回避することが可能となっている。

ロングボール戦術を成立させるために重要な環境構築、前線構造の設計、セカンド回収の3点から見ていく。

キーマンの一人となるのはGKのフェルブルッヘンだ。彼がビルドアップに参加することで、数的優位の状態を得ることができる。フリーの選手を作り出すことができれば、ショートパスでの前進を狙う。相手を釣り出すことに成功した際や、プレスを受けている場合にロングボールを送り込む。

つまり、ロングボールの目的は相手を釣り出した状態での前進、もしくはプレスを受けている際の回避・局面転換である。

ショートパスを主体としているため、後方に枚数を揃え、前線4枚と分断して相手を釣り出してスペースを作り出すことが可能となっている。

その状態で、キック精度の高いフェルブルッヘンが、サイド奥にボールを送り込むケースが多い。相手に下がりながらの難しい対応を強いることで、クリアしにくい状態を作る。

前線では、サイドの選手が相手を釘付けにし、中央のコストゥラスが下がることで、DFラインにギャップを生み出す。

跳躍力があり空中戦に強いゴメスをターゲットとすることで、ギャップにボールを送り込むことも可能となる。

サイド深くにボールが送り込まれた後、後方の選手達は素早くセカンド回収に向かう。というよりも、より正確には、セカンドを回収する敵選手の背後からプレスをかけに向かう。

相手は後ろ向きで処理を行う必要があり、背後の状態を確認することが難しい。相手がバックパスをする場合、そのままプレッシングの局面へと転換していく。相手からプレスを受ける局面から一転、自分たちのプレッシングフェーズに移行するのだ。

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ネガティブ・トランジション

攻撃を仕掛けている時間の長いブライトン。攻撃の時間が長いということは、守備に回る時間が少ないということだ。失点のリスクを抑えることができる。

ただし、攻撃には必ず終わりが来る。サッカーにおける攻撃は、失敗で終わることの方が圧倒的に多い。そんな中で、いかにネガティブ・トランジションを迎えるかという点は、ブライトンにとって重要なポイントだ。

ヒュルツェラー就任初年度は、カウンターでの失点がリーグで最も多いチームとなった。ただし、昨シーズンは大きく減り、失点数自体もアーセナル、シティに次いで、リーグで3番目に少ないものとなった。

今季のブライトンも、ネガティブ・トランジションの体制がある程度整ったものとなっている。

攻撃志向としては、先述の通り、攻撃時間を長く確保することで、守備に回る失点リスクを低減している。また、粘り強いショートパスで前進を狙い、相手のプレスが強ければロングボールで回避を行うことができるため、低い位置でのミスからピンチを招くケースが少ない。

前線では、ドリブラーが不在であることも影響し、シンプルなプレー選択により危険なロストを回避して攻撃を終えることができる。

相手を押し込んだ場合は、4バックとアンカーによって、カウンターを未然に防ぐための予防的配置がとられる。SBのボスカリやカディオールは敵アタッカーに寄せられる位置を取り、CBのヴシュコビッチやストライクも、サイドの裏やアンカー脇等広い範囲をカバーする。

ボール保持者に対しては、近くの選手が前向きにプレスをかける。ボールより前に位置する選手は、マイナスや中央の選択肢を切るように素早くポジションを取る。

懸念となるのが、SBの攻撃参加と、CB陣のスピード不足だ。ブライトンのIHは比較的高い位置を取ることが多い。その状態で、SBがローテーションで高い位置に抜ける動きを見せると、後方の枚数が4枚以下となるケースが見られる。カディオールは帰陣が早いとは言え、どうしてもトランジションで後手に回るケースが発生しやすくなる。

また、CB陣はカバーエリアが広く、予防的配置をとることでカウンターを未然に防ぐことができるが、スピード自体は不足している。そのため、カバーが届かない、もしくはレイオフ等ですり抜けられ、一気に背後を取られる危険を孕んでいる。

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プレッシング戦術

ブライトンは、プレッシング戦術も長所としている。トリガーは主に、サイドでのバックパスと、ゴールキックだ。

相手がサイドでボールを持つと、バックパスを強いるように縦と横を切る。バックパスに選択肢を絞り、いざバックパスが出たタイミングで、前線の選手が同サイドを切るようにプレスをかけ、中央では敵に前を向かせないように捕まえ、逆サイドで仕留めていく。

アストン・ヴィラ戦は、このプレッシング戦術により相手からボールを奪取し、1点目、4点目を決めている。

前線の守備意識が高く、ドリブラーが不在でも守備で点が取れるのだ。

昨季王者のアーセナル戦では、中盤3枚と右SHのゴメスがマンツーマンで対応する守備で、アーセナルの攻撃を悉く妨害した。後方のCB陣はスピードに難があるものの、長身でロングボールを回収することが可能だ。このプレッシング戦術は、アーセナル相手に3-0の快勝を手繰り寄せる要因の一つとなった。

守備の面での弱点は、押し込まれた時の陣形の乱れだ。基本的に、抜けていく選手や高い位置どりの選手に対して、受け渡しをせずについていく守備となる。最終的にゴール前に人数をかけて守るような状態だ。すると、ブロック手前のボールホルダーにプレスがかからなくなり、背後を突くようなクロスボールや、マークの乱れを突く攻撃に弱くなるのである。

ブライトンは、複数の局面において強みを持つチームだ。強力なドリブラーやスピードタイプは不在だが、配置やローテーション、別局面からのアプローチで得点を量産し、躍動している。ドリブラー不在のスカッドを逆に活用した、面白いチームである。

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ヒュルツェラーをはじめとする、新進気鋭の若手指揮官達の戦術については、概要欄のリンクに記載された書籍にて。

アルテタ、マレスカ、イラオラ、アロンソ、26-27シーズンでは、取り上げた監督の多くが新たにプレミア上位チームに集結しており、新時代の到来を予感させます。

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