こんにちは。今回はナポリが駆使するユニット戦術 “3オンライン” の紹介です。
ちなみにこの”3 (players) on line”という呼び方は私がテキトーに考えた呼び方ですのであしからず。
3オンラインとは?
“3オンライン”は、私がナポリの試合をひたすら観続けて気づいた、高頻度で出現する攻撃陣形です。特に出現頻度が高いのはナポリのストロングポイントである左サイドでボールを保持している時。上図のように3人の選手が一直線上に並ぶ形を指します。この陣形をとることで何がどう良いのか?それを知るために、やはりここでもフットサルの知識が活きてきます。具体的にはフットサルの「サイ」という戦術になります。
サイとは?
サイとは3選手が一直線上に並んだ状態から、中央の選手が抜ける動きを意味します。上図、3人の選手が並んでいる状態から中央Bが抜けます。その際のBのマーカーのリアクションは、Bに「ついていく」or「ついていかない」のどちらかです。
①Bにマークがついてこなければ
そのままBにパスを出せる。
②Bにマークがついてくれば
AからCへのパスコースが開く。
この2択の選択を迫ることができます。攻撃側は敵のリアクションを確認、敵の選択の逆を突くことでボールを前進させます。常に2択を突き付け、相手の選択の逆を行くことができれば、優位を保った状態でゲームをコントロールすることができます。また、②の場合Bのマークについた選手は、Cに渡ったボールとBを同一視野に捉えることが難しいので死角をとられるケースが多々あります。
この「中央の選手が抜ける動き」をサイ、そしてサイを行うにあたり3選手が一直線上に並ぶ陣形を”3オンライン”と言います。ちなみにグアルディオラの偽SBはサイと同じ原理です。予めSBを絞らせることでWGへのパスコースを確保しています。
この3オンライン からのサイを駆使した攻撃を展開するナポリですが、実際どのように見えるのか、3オンラインを意識してご覧ください。
※補足として、ナポリの場合下のように4人目を介するパターンもあります。
ナポリの3オンラインからのサイ集
お分かりいただけただろうか・・・。
ナポリの攻撃のほとんどに3オンラインが仕込まれています。サイドで斜めに3オンラインの陣を敷き、カットインを織り交ぜることで大外の選手をフリーにするナポリ流の面白い崩しですね。斜めだけでなく縦関係の3オンラインを使いこなしているのもお分かりいただけたかと思います。
その他チームのサイ集
ついでに別のチームで使われているシーンも。
サンプルはバレンシアのパレホ(最初の2シーン)、ドイツ代表でのドラクスラー、ボルシアMGのザカリア、さらにチェルシーとバルセロナです。
おわりに
ということで、この3オンラインからのサイはボールを前進させるうえで非常に強力な武器となります。最終的に中央が抜けて三角形が出来上がるのですが、その下準備として一直線を作らせるという考え方は、「常に三角形を作れ!」という誰もが疑う事のなかったサッカー界の常識と少し毛色が違って面白いですね。
コメント
[…] →3オンラインから抜けたシルバをトリガーにアグエロ、スターリングの順に連動してスペースに侵入。フリーの状態を作り出す。 […]
[…] 以上が山雅の遅攻に見られた「パターン攻撃」だ。これはサッリ・ナポリやチェルシーが得意とする「3オンライン」及び「サイ」という強力な攻撃パターンであり、山雅のひとつの武器になりそうだ。 […]
[…] アタカール・エル・バロンは、メンディの偽サイドバックや、3オンラインと同様、敵に2択を突き付ける攻撃である。 […]
[…] 一方、チェルシーはまだベースサイドが設定されていない。選手が広く散ってポジショニングしているため、当然選手同士の距離間が広くなり細かなパス回しが難しい状況となっている。レイオフや3オンラインの母数は少なくなる。攻撃におけるナポリとの最も大きな差異であり、非常に大きな影響が出そうな部分だ。 […]
[…] […]
[…] ①コレアへのパス→内側に抜けてワンツーを受ける②コレアの動きにより空いたスアレスやジョレンテへのパス(3オンライン)③外のロディや後ろのコケ […]