ルイス・エンリケ率いるPSG。25-26シーズンの彼らは、CL連覇という偉業を成し遂げた。
これは、前身のチャンピオンズカップを含めても史上9チームしか達成していない快挙だ。
歴史に名を刻んだ彼らは、どのようなサッカーを展開したのか?なぜ強いのか?
彼らの戦術を紐解いていく。
チームスタイル

リーグアン、そしてチャンピオンズリーグを制したPSG。
デンベレ、クヴァラツヘリア、ドゥエの3トップをはじめ、突出した個の力を備えた集団だ。試合を決定づける力のあるスター達が、高い個人能力でスーパーゴールを生み出している。

期待を越えるスーパーゴールの多さを裏付ける数字が、ゴール期待値と実際の得点数の差だ。
CLにおける差を見てみると、1位クヴァラツヘリア、7位ビチーニャ、9位ドゥエと、3名の選手がトップ10にランクインしている。
チームとしても、PSGは+8.7と群を抜いて高い。
ゴール期待値が高いものの得点数に乏しいチームは、決定的なチャンスを作れているとも言えるため、勝ちにつなげることはできなかったものの、ひとえに悲観するものではない。
ただし、決定機を確実にものにし、難易度の高いゴールを決めるほど高くなるこの数値は、勝負の世界において重要な値となる。PSGの試合を決定づける力はCLでも圧倒的だ。
個々人のゴール期待値だけみると、CLトップ20の中で、デンベレが唯一12位に位置するのみだ。チームとしては全体2位であるため、特定の選手に依存することなく、万遍なくチャンスを迎えているといえる。
そんなスーパーゴールを生み出すスタープレイヤー達は、プレッシング戦術においても多大な貢献を見せている。
最大の戦術的特徴ともいえる外切りとマンツーマンを活用したプレッシング戦術は、彼ら前線の選手なしでは成立しない。
ボールを回収すると、速攻、もしくはボール保持へと、素早い判断で移行する。相手の守備を分解したうえで背後を取る攻撃は、個と組織が融合した、破壊力抜群のものとなっている。
また、複数コンペティションを無理なく乗り切るため、エンリケは積極的なターンオーバーを採用しており、CL連覇の大きなポイントとなった。
選手起用マネジメント
PSGのサッカーは、豊富な運動量に下支えされている。そのためエンリケは、シーズン終盤まで運動量を維持するために、大胆なターンオーバーを採用している。これは、CLを戦う上での大きな武器となっている。

CLベスト4に進出したチームで、プレー時間を比較する。
試合数はリーグ戦のチーム数や各コンペティションの戦績の影響によるもので、PSGとバイエルンが最少となっている。
シーズン総プレー時間の60%以上に出場している選手は、バイエルンが最も多い。バイエルン戦術分析動画でも取り上げたが、選手層の薄さ、特定選手への依存の大きさが顕著にみられる。
シーズン4000分以上の出場、および、リーグ戦総プレー時間の60%に出場している選手数は、アーセナルが高い数値を示している。選手層は厚いものの、プレミアリーグの膨大な試合数、強豪揃いのリーグ環境が大きく影響している。
これらのどの数字をとっても、PSGは低い数字となっている。また、シメオネ率いるアトレティコも比較的少ない数字が目立つ。
リーグアンでの最長出場はエメリの2454分。これはフルタイムとなる3060分の8割程度の数字である。
当然他メンバーはそれより少ない出場時間であり、最多の得点数で優勝を決めたリーグアンでの得点王争いも、11Gのバルコラが8位に位置するのみだ。
リーグ戦出場時間チーム2位のザバルニーは、シーズン総プレー時間では7位とやや低い。なぜなら、CLでの出場時間が18位と少ないからである。

エンリケによるターンオーバーの意図は明らかである。リーグ戦出場時間とトータルの出場時間をグラフに落とし込むと、大きく「CLメイン」、「リーグメイン」、「兼任」、「若手」の4つのグループに分かれる。
CLでスタメン出場する選手の多くは、リーグ戦の出場は半分を下回る。逆にリーグ戦で半分以上試合に出ている選手の多くは、CLで控えに回ることが多い。
右SBとしても起用されるエメリ、CBのパチョ、アンカーのビチーニャは稼働率がやや高くなっているものの、選手を休ませつつ、無理なくシーズンを過ごすための、エンリケのマネジメント力は非常に優れている。
外切り+マンツーマンプレッシング
PSGの強力な武器となっているプレッシング戦術。彼らのプレッシングの大原則は2つだ。
・守備組織の1stライン手前では時間を与えず、1stラインを越えた位置では前を向かせない。
・前線が進行方向とプレーに制限をかけるようにプレスをかけ、中盤や最終ラインが奪うべきエリアを予測、特定しやすくする。
前線が外切りでプレスをかけて進行方向を制限し、可能であれば前線で奪取、ロングボールを蹴らせた場合はマンツーマンで守る後方で奪取を図るのが、PSGのプレッシングだ。
外切りを行う選手は主にWGとなるが、試合によってはCFも担当する。

CL準決勝のバイエルン戦で見ると、ボールサイドのWGのドゥエが、敵SBを切りながらCBへプレスをかける。
逆への展開を許さないよう、逆WGのクヴァラツヘリアが、CBに死角からアタックできる位置を取り牽制する。
CFのデンベレと中盤のビチーニャが前を向かせないように敵CHにプレスをかけることで、選択肢を奪う。

WGによる外切りが外された場合、右サイドではSBハキミが、左サイドではIHエメリがSBにプレスをかけていく。
守備で激しく当たることのできるネベスは、トップ下を見る形でDFラインに入ることが多い。
敵左WGに対しては右CBのマルキーニョス、0トップとして頻繁に降りるケインには左CBのパチョがついていく。


相手がGKを含めてビルドアップを行う場合、WGが敵CBに引き続き、継続して横切りプレスをかける。
仮にCHを経由してCBへパスを繋ぎ、横切りプレスを外された場合、ボールサイドのIHがプレスに出る。
この時、逆IHはボールサイドのCHへとスライド、プレスを外されたWGが逆CBとCHへのパスコースを切るようにポジションをローテーションして逃げ道を塞ぐ。
こうして前方でパスコースに制限をかけ、引っかけてショートカウンターに移行するか、ロングボールを蹴らせることでボールを回収する。
自身の守備ラインを越えられた際のアタッカー陣は、バックパスを切るようにポジションを取る。
そうすることで、速攻の際に高い位置で攻撃をスタートすることが可能となる。
また、自身が切っているパスコースとは別の位置にバックパスが出た場合でも、素早くプレスに出ることが可能だ。

特にデンベレは、そのスピードもさることながら、バックパスが出るより前にスタートを切っているほど早いタイミングで寄せに向かうことができる。通常、単騎でのプレスはNGプレーである。しかし、デンベレは敵選手がサポート位置につくよりも早く、パスコースを切りながらボールホルダーに到達することができる。そのため、単騎でもボールを蹴らせることができるのである。

相手のサポートが間に合っていないため、ボールを蹴らせた直後のデンベレはオフサイドポジションに位置することとなる。しかし、オフサイドポジションから戻りつつ最前線に現れることで、DF陣は守備が組織化される前に死角を突かれ、急な判断を求められる。

また、WGの選手が抜け出しに成功し、自身より前に位置すれば即フリーの状態を得ることができる。
こうした要素は当然、ポジティブ・トランジションにおいて大きなアドバンテージとなる。
ポジティブ・トランジション
ポジティブ・トランジションにおいて重要な要素となる、ボール奪取設計、人員設計、奪取直後の判断とアクション、そして前進方法。PSGの速攻は、それらを兼ね備えているといえる。

最大の特徴は何と言っても守備構造にある。攻撃方向を制限することで奪取の狙いが定まり、前を向いて奪うことが可能となる。また、前線の選手が高い位置でバックパスを切ることで、速攻時にスペースを突きやすくなっている。特に外切りでCBに寄せるWG陣は、奪取直後にハーフスペースに位置することとなり、敵SBが絞って対応すればサイドのスペースを突きやすい。
中盤が前を向いて奪うと、ビチーニャを中心として、前線のスペースへ精度の高いスルーパスを送り込む。速攻が難しい場合にボール保持に切り替えるという判断も的確だ。優先順位は中央3レーンの背後、SB背後、中盤脇となる。

前線の選手はペナルティ幅に広がりつつ、相手の守備ラインにギャップを生み出し、間合いを取る。デンベレは膨らんで相手と距離を取り、パスコースを作るプレーが抜群に上手い。サイドのボールホルダーは内側にボールを運び、前方ニア側の選手はボールと逆方向に膨らむように動き、逆サイドは離れるようにしてマークを外す。
デンベレに加えて突破力のあるクヴァラツヘリアやドゥエはボールを受けた後、得意の間合いから相手を外して強烈なシュートを打ち込むことが可能だ。
後続にはスプリント力に長けたハキミやメンデス、ビチーニャが位置し、低い位置から駆け上がり、速攻に選択肢を与え、分厚い攻撃を形成する。
組織化された攻撃
PSGはポゼッション率の高いチームだ。CLでも1試合平均63.4%でバルセロナに次ぐ2位の数値である。

4-3-3を採用する彼らの攻撃の大きな武器は、DFライン背後への抜け出しだ。
ビルドアップで、DFライン背後を取る下準備を行い、柔軟なポジションチェンジを駆使してスペースを生み出し、各選手の個人戦術やスピードも活用して背後を取る。
背後をケアされた場合は、空いた手前のスペースからミドルシュートを狙っていく。

まずはビルドアップの局面に着目する。キーマンは、CLにおける1試合平均パス本数が全体で1位となっている、アンカーのビチーニャだ。
彼は機動力が高く、プレーエリアの非常に広い選手だ。
・相手の守備の1stライン手前まで降りる
・サイドのボールホルダーに寄る
・3列目から前方に抜ける
といった形で、多くのエリアに顔を出す。
相手の守備の1stライン手前まで下がってボールを呼び込むことで、敵のプレスがかからない選手を増やすことが可能となる。ボールホルダーはフリーの時間を得ると、DFライン背後へ向けたロブパスを狙うことができる。

ボールを受けたビチーニャは、横方向のドリブルを多用する。横方向の動きに対して、相手はどこまでついていくかという判断に迫られる。相手のCFがついてくれば、中央や逆サイドにスペースを生み出すことが可能となる。右IHのネベスは、敵の守備の1stライン上でボールを呼び込み、後方と前方の橋渡しを行うことができる。
ビチーニャの横ドリブルに相手がついてこない場合、ビチーニャはドリブルで1stラインの通過を図る。通過のタイミングで相手がリアクションを取れば、反応した選手を引き付けることで空くスペースを活用し、前進の助けとなる。
こうした横方向の動きは主にビチーニャによって行われるが、ネベス等他の選手達にも見られるビルドアップのテクニックとなる。

サイドのボールホルダーに寄る動きは、数的優位をもたらすだけでなく、相手に受け渡しの判断を迫る動きとなる。この動きによって空いた中央のスペースに、ネベスやエメリといった中盤の選手が入り込み、WGやSBが続くことでスペースを連鎖させていく。

横への移動に加え、前方に抜けることでスペースを生み出す動きも見せる。3列目から抜けると、相手の前線が戻って対応することが厳しくなる。そのため、受け渡しの判断と数的な優位を生み出すことが可能となる。
この柔軟なポジションチェンジは、背後を取るうえで重要なポイントとなっている。
ポジションチェンジ
PSGは中央とサイドをリンクさせるポジションチェンジを多用する。特に、中の選手が抜ける、近い選手が抜ける、抜ける時はレーンも変えるという原則の元に行われる、横方向のワンツーが多い。

横方向のワンツーは主にWGとIHによって行われる。
IHは平行か、やや高い位置からボールホルダーであるWGに近寄る。WGはIHにパスを出し、内側に移動しながらリターンのパスを受ける。
IHはパスを出した後、サイドの裏に抜けるように移動する。すると、相手はいくつかの判断に迫られる。
・SBがWGについていくべきか?CHが出ていくべきか?
・IHに対してはどうか?

SBがWGについていけば、サイドのエリアが空くため、IHがフリーになりやすい。
バックパスを介してサイドに展開することも可能だ。

CHが出ても、IHがSB背後を取りやすい。
WGをフリーにすれば、中や逆サイドへの展開が楽になる。
バスケットボールのピック&ロールのような形で、IHが流れる際に敵SBをブロックすることで、フリーを得ることもできる。

パス交換を用いずにIHがサイドに流れることで相手を引きつけ、中へのパスコースを作り出す動きも多い。
この時、中の選手が流れたIHを利用することで、3人が関与する連携攻撃が生まれる。
中と外をリンクさせるよう、中へとボールを運ぶが、人が外に流れて相手を押し込むので、中が空く。中と外をリンクすると、守備に的を絞られることなく、攻撃の選択肢を保ったまま前進することが可能となる。また、外から中へと向かうタイミングで、相手のDF陣の視野を揺さぶり、背後に抜ける動きを助けることにつながる。

内の選手が外へ、外の選手が内へとレーンチェンジを行うため、右SBのハキミが左のチャンネルを抜けるシーンも見られる。それをチームとして許容することのできるコンセプト共有がなされている。
リヴァプール戦においては、ポジションチェンジの果てに、SB2枚が最前線に立つこのような配置をとる場面も見られた。
レーンチェンジで内と外につながりを持たせることで、スペースと死角を生み出し、背後への攻撃が決まりやすくなる。
背後を取る

背後を取るスイッチが入るのは、相手の守備の1stラインを越えたのち、ハーフスペースにボールを運ぶことで相手DFの身体の向きが内側を向いた瞬間である。

CL準決勝バイエルン戦の、クヴァラツヘリアのゴールを例に見る。メンデスからドゥエへと渡ったパスから、クヴァラツヘリアが背後に抜け出してゴールを奪ったシーンだ。
左SBのメンデスがボールを持つ段階では、スタニシッチの身体の向きは、右脚をコーナーフラッグの方向に向け、ボールとクヴァラツヘリアを同一視野に捉えている。

しかし、シャドー位置のドゥエが流れ降りて受ける際、ボールを視野に捉えるため、右脚をクヴァラツヘリアの方向に向けるよう、身体の向きを入れ替えた。すると、クヴァラツヘリアを同一視野に捉えるのが難しくなるため、背中に飛び込まれやすくなる。
クヴァラツヘリアは、一度足元で受けるようなステップを入れてから抜け出し、ゴールを奪って見せた。ドゥエが降りたことでCBを釣り出し、カバーの利かない状態となっているのも、見逃すことのできない重要ポイントだ。ドゥエは降りる直前、背後へ抜ける動きを入れることで、CBウパメカノとの間合いを確保している。
こうした個人戦術をこまめに取り入れているのもPSGの強みだ。

スタニシッチは、ドゥエに入った段階で絞ることで、ボールとマーカーを同一視野に捉えることができたが、ドリブル突破の得意なクヴァラツヘリアに対して間合いを取られるのを嫌う心理も働いたと考えられる。
スタニシッチはビルドアップに優れた選手であり、スピードや対人守備に特別優れているわけではなく、この試合のひとつのポイントとなった。
逆に、ドリブル突破と背後への抜出しの2つの脅威を与えられるクヴァラツヘリアは、WGとして現在、世界最高峰の実力の持ち主だといえる。ただ単にドリブル突破が得意なだけではなく、それを選択肢の一つとすることで別の脅威を与え、2択を迫り、状況に応じて適切な判断を下す。それこそが、WGの実力を測る物差しとなる。ただ単にスピードと突破力があるだけではWGとして十分とは言えない。

この、シャドーやCFのデンベレがWG手前に流れ降りて受ける形は、5バックを相手にする際も多用される。ボールを受けてから内側に持ち出すことで、相手の視野を操作しやすくなる。

CL決勝にて、堅固な守備を誇るアーセナルから同点となるPKを奪取した際も、先述の横方向のポジションチェンジと、流れ降りるデンベレの関係性から生まれたものであった。横移動を見せるデンベレに対し、マーカーがついていくものの、間合いを取られる。

完全にDFの死角を陥れたわけではないが、逆脚ワンツーで相手の重心を手前に引き寄せ、ボールとクヴァラツヘリアを同一視野に捉えられない状態を作ったうえで背後を取ることに成功している。
守備側にとって最も怖いのは、背後を取られることだ。PSGはその背後を常に狙っている。
ネガティブ・トランジション

ボールを奪われた際は素早い囲い込みが行われる。
ボールより前方に位置する選手は、バックパスを切る。前方だがボールに近い選手はボールホルダーにプレスバックをかけ、主に中盤とSBにより前向きのプレッシングをかけてボール奪取と攻撃の遅延を図る。エメリ、ネベス、ビチーニャの中盤は180cmに満たない、比較的小柄な選手達によって構成されている。しかし、フィジカルコンタクトを厭わない激しい守備ができる。切り替えも早く、ネガティブ・トランジションの局面で大きな貢献を見せている。
CB陣は背後をケアし、特にパチョは状況に応じて前進して身体をぶつけ、前を向かせない。仮にレイオフパスを許した場合は、手で相手を押すことで、自身の裏にそのまま侵入されることを防ぐプレーも見られる。
とにかく相手に前を向かせないことが重要となる。そうして、ボール奪取に至らずとも攻撃を遅らせる。
遅らせて相手にバックパスを強いることで、守備陣形の形成と、マンツーマン守備に移行する時間を得られると共に、バックパスを切っている前方の選手による素早いチェイスでボールを敵陣深くに押し返す。もしくは、ロングボールを選択させて回収する。
ただし、相手を押し込んだ後のDF陣による事前配置はさほどなされておらず、出足が遅れることも少なくない。より中盤メンバーの切り替えが重要となる。
絶対強者の死角

PSGは、突出した攻撃力を持つ前線の選手が献身性まで備えているため、どの局面においても強みを持ち合わせたチームとなっている。
ただし、決して無欠というわけではなく、弱みとなる部分も存在している。まずは中切りプレッシングの回避だ。PSGは繋ぐ意識こそ強いものの、相手のプレスの矢印に逆らうようなパス回しは多くない。そのため、相手の誘導に対し、正直にパスを回す傾向が強い。そうなると、SBの位置でプレスをはめ込まれてしまう。
そんな時に打開策のひとつとなるのがロングボールだが、ここの設計も弱い。DFライン背後へのボールを持ち合わせるのは先述の通りだが、それはスペースを作った上での話であり、プレス回避の術となるものではない。
長身選手も不在のため、ネベスとビチーニャの運動量、コンタクト、セカンド回収に下支えされることとなる。しかし、中盤は流動的に前方に抜けるため、中央が空洞化した状態でロングボールを選択し、ピンチを招くケースも散見される。
逆に、プレッシングをかけてロングボールを蹴らせた場合も、バイエルンのようにロングボール戦術が整った相手の場合、素直に回収するのが難しい。バイエルンは前線が階層構造を作り出すことでスペースを生み出し、ケイン+αでボールを収め、WGが背後を取るようにして競り合う。この形に対し、PSGはボールを回収されるケースも少なくなく、実力の拮抗した紙一重の勝負となった。
守備の面では、マンツーマンという特性を利用され、ボールホルダーの背中側に回るオーバーの動き。そしてPSG自身が得意とし、バイエルンに実践された、パブロビッチの横方向のドリブルや、CB陣の抜ける動きに対して対応が後手に回るケースが見られる。
こうした課題が見られつつも、強みを前面に押し出し、CL連覇を果たしたPSG。エゴと規律が共存し、個と組織を融合させた、まさに歴史に残るチームであった。3連覇に向けてどういった変化がもたらされるのか、来季の戦いにも注目だ。

王者PSGに立ち向かったスロット、サージュ、そしてアルテタ、ロシニアー達、新進気鋭の若手指揮官達の戦術については、概要欄のリンクに記載された書籍にて。
26-27シーズンでは、取り上げた監督の多くが新たにプレミア上位チームに集結しており、新時代の到来を予感させます。
28人もの若手指揮官の戦術と、サッカーの原理・原則を学ぶことのできる一冊となっています。ぜひお手に取ってみてください!


